今回のテーマは貴金属の最終段階の作業工程となる【磨き】です。
貴金属の磨きによる輝きは作品の印象に大きな影響を与えます。
作品の命に魂を吹き込むような、竜の目に点を打つような、
良い意味での緊張感のある重要な作業となります。
磨きと一言でいっても磨く方法は色々とあります。
大きく分けて3つ紹介します。
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①シンプルに磨き用のヘラを作品に押し付けて擦って磨く方法
蜜ろう彫金教室ではヘラ磨きに重点をおき貴金属に繊細な輝きをあたえます。
特にヒキメのような繊細で美しいラインを表現するにはヘラワークが重要になります。
ヘラの種類や形状は作品の形に合わせて使い分けます。
例えば、超硬ヘラは強い光を作りたいとき、超硬ではないヘラは微妙なニュアンスの光を作りたいときといったように使い分けます。
太いヘラは強い光をだすために、細いヘラは細かいところや狭いところの磨きに使います。
平らなヘラは大きな鏡面を磨くときに重宝します。
ヘラ磨きは右利きの場合、左手で作品をもって柔らかい布を巻いたすり板に押しあて固定し、右手でヘラをもって磨きます。地金の表面処理を整えておくと力をかけずに磨くことができます。
磨き始める前にヘラに傷がないかルーペで確認し、
磨く力、スピード、ストロークの幅、を調整して最適なヘラ磨きを探りながら磨きます。
ヘラに少量の水を付けて磨くと滑りがよくなり磨きやすくなります。
②専用の磨き剤を布につけ、それで作品を擦って磨く方法
磨く貴金属の種類にあった磨き剤を用意します。
ここではSV925用の研磨剤を使っています。
研磨剤を布に適量とり、作品に研磨剤を擦りつけながら光沢をだします。
研磨剤で磨かれた部分は光り、研磨剤で磨かれない部分はそのまま鋳肌として残ります。
その変化をよく観察しながら磨き、好みに合った輝きになったら水で薄めた中性洗剤で洗い汚れを落とします。
良く乾かしたら完成です。
研磨剤で磨く場合、他の磨きに比べ少し輝きが落ちますが、程よい光沢を出したいときには適した方法です。
③ハンドグラインダー(リューター)を使って作品にバフをかけて磨く方法
この方法はハンドグラインダーにバフ(ヘッドの部分が皮や布などでできている道具)をセットし、そのバフに研磨剤をつけて高速回転させながら作品を磨いていくやり方です。
バフ磨きは細かい小傷などを取り除き、貴金属に素晴らしい輝きをあたえます。
ただ、バフのかけ過ぎは作品の風合いを大きく変えてしまう可能性があるので、完成のイメージをしっかりと持ったうえで行うといいでしょう。
④まとめ
以上、3つの方法を紹介しましたが、磨きは磨く前の下処理(やすり掛けなど)がしっかりできていると、より完成度の高いものができてきます。
デザインにあった磨き方をチョイスして自分なりの表現を探していくのはとても楽しいです。
より詳細な磨き方や諸注意点などは蜜ろう彫金教室にてレッスンしていますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
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